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デザインワークスの店づくりコラム

店舗計画

地味な設備工事が快適な店舗を造る(空調編)

空調工事

いわゆるエアコンの工事です
言うまでもなく大事だと言う事はみなさんお分かりだと思いますが
でも?こういうご経験は無いですか?

単純に寒い店
頭に直接風が当たる店
暑い席と快適な席があるお店。。。

きっとあると思います。
コレ以外にも空調工事の問題は沢山ありますが
まあ、やっぱり暑い寒いと風の問題が主な物です

でも、逆に気にならないお店もある事も確かですよね?

では空調工事がうまくいっている店と巧くいっていない店の違いは何でしょうか?

まず、何より内装のレイアウトや天井の高さ、元々の窓の位置に対して適切な空調設計がされているかと言う事です。
例えば
公共性の高い建築物、美術館や音楽ホール、映画館などで上記の様な空調の問題はあまり感じた事が無いと思います
コレはなにより空調設計がしっかりとされているからです(もちろんお金も掛かっている事は言うまでもないですが)
では店舗は空調設計しないんですか??
と聞かれると、世の中の店舗設計に関わる会社やデザイナーはどう答えるのだろうか?と考えちゃいます。
事実、多くの店舗で問題を見かけるからです。

ぶっちゃけ!設計も何もなく経験と勘で、適当に付けている会社が多いのかもしれません。。。
恐ろしい事を書いてしまいましたが、

真面目にコストの問題でこれで空調は限界ってお店は、プロだから僕は分かります
でも明らかに凄い、お金掛かってるのに?あれっ?ってお店もあるんです。。
そう言うお店を見かけると疑問が出て来ちゃうんです

例えばデザインワークスでは空調の設計図が図面の中に添付されています。(たとえ10坪以下の店舗でも)
お客様のお店の図面に空調設計図が無かったら???ご確認してみて下さい。。

さて置き、空調は真面目に考えていかないとお店のお客様の快適性に大きく影響しますし、空調が悪いとお客様はリピートしていただけなくなるかもしれません。
だって、世の中にたくさんのお店があるのに、寒い店や暑い店に好き好んで普通の人は行きたいとは思わないのは明らかですから。。。

ではどうすれば良い空調になるのでしょうか?
もちろん、お店お店によって注意点は違います。環境も違いますし店舗の形も違いますから。。
全てに当てはまる正しい法則は無い訳ですが、何例か典型的な例を挙げてみましょう。

まず空調機のタイプを整理します
1家庭でよく見る壁に付いている型の物(以後、壁掛けと表記)
2天井に埋込まれている正方形の物(以後、4方向吹きと表記)
3天井に埋込まれていて長方形の物(以後、2方向吹きと表記)
4天井からぶら下がっているもの(以後、天井吊り式と表記)
5天井や壁に吹き出し口が何カ所も出ているもの(以後、ダクト式と表記)
(2と3をまとめて表記する場合天助埋め込み式と表記)
大きく分けると大体この5タイプに分類出来ます

例1
店舗の形が細長い(鰻の寝床型)
この形の店舗は一番向いているのはダクト式です
なぜなら、吹き出し口を細かく分散して出さないとお店の形が細長いので均一に空調しにくいからです
どこか1カ所から空調すると、細長いために、吹き出しの位置と離れた位置の温度差が出来やすいですし
1カ所からでは近いところは風が強くなってしまいます
他の方法としては天井埋込み式をお店の長さに対して何台かに分けて設置して
ダクト型の様に何カ所かで吹き出す必要があります。
例2
個室が多い店舗
このタイプの店舗に一番向いているのはダクト式か個々の個室に天井埋込み式か壁掛け型を設置する事です
まあ、とても単純ですが個室ですから個々の部屋に、空調する事が大事なのは当たり前ですね
ただ、ダクト式では何室かを一台のエアコンでまかなっている事になりますので、
個別に空調出来る後者の方が良いのかもしれません。
(ケースバイケースですがコスト面を考慮すると部屋が多い場合はダクト式の方が優れていると思います)
例3
窓が多い店もしくは大きい店
壁に比べて、窓ガラスは外の空気の温度が室内に伝わりやすいのが空調的には問題です。
この場合、ダクト式でラインブリーズと言う細長い吹き出しを窓面に設置し、窓からの冷気や暖気を防ぐ様にします。
そして店舗の中心部分は天井埋込み式の空調機を設置するのが一般的です。大体の問題はブリーズを設置しない事から起こります。
後は、空調工事ではないですが、窓に光や冷気を遮れるウィンドトリートメント(カーテンやブラインドなど)を設置する事が有効です。
例4
L型の店舗
やはりダクト型か天井埋め込み式を何台か設置し、均一に空調が行き渡る様に。。
L型はダクト式以外では空調機1台では無理です。。
例5
天井の低い店、高い店
天井の低い店は実は空調がとても難しい。。天井埋め込み式は客席の上には直接風が当たるので付けられませんし、
壁掛けや天井吊り式も埋め込み以上に問題があります。
やはりダクト型を付けるのですが、吹き出し位置がとても難しい。客席の後ろの天井などから吹き出す事によって
均一に分散して空調する。ただ、天井が低いという事は、ダクトを通すのも大変な訳で。。。天井の低い店舗の空調は難題です。。
では天井が高い店はどうでしょうか?もちろん天井の高さによりますが、あまりに高い場合は、天井でなくある程度の高さに空調の
吹き出しを設置します。見た目もありますが、壁掛けでも、ダクト式で吹き出しを出しても良いです。この場合、よく見るのは丸い
タイプのノズルです。何故、天井に直接付けないかと言うと特に暖房運転の場合、暖気は上昇してしまうので、床面まで届かないからです
逆に、冷気の場合は下に降りて行くのですが、やはり高過ぎる天井ですと冷風が届かないので、暖房程深刻な問題ではないですが
適度な高さに設置するのが良いのかと思います。
例6
コスト重視の場合
今までの話しの流れを考えると一概には言えないのですが、工事費を考えると、空調機1台辺りはダクトタイプが一番高いと言えます
では一番安いのはと言うと恐らく壁掛けと言う事になると思います。機器の価格も壁掛けが安いと思います。色々なシーンで万能選手の
ダクト式が店舗ではあまり見かける事がないのはコスト面の問題からだと思います。逆にコストと機能が一番優れているのが天井埋込み式
その中でも4方向吹きが一番バランスが良いのかもしれません。だから、店舗では一番多く見かけるのだと思います。ですからバランスを
考えた上ならコスト的に優れているのは4方向吹きと言えるでしょうね。。

単純な例でしたが参考になりましたでしょうか?
ただ何より空調は店舗によりケースバイケースで真面目に、コストも含めて客席のレイアウトや、躯体の条件によって巧く設計しないと
快適な店舗は造れないと言う事です。。それと、同じ空気の事で考えると換気との関係も密接で重要です。
コレもまたまた語り尽くせない大変な問題ですが、換気編で書きたいと思います。。。

とにかく、快適な店舗には地味ですけど空調設計が大事!と言う事、良く覚えておいて下さいね。。